知らない人からモノやお金をもらうことに怖さを感じない異常

youtubeを見るとリスナーが配信者にスパチャ(投げ銭)を贈ったり、配信者が公開しているAmazonほしいものリストからモノを贈ったりすることが珍しくない。

何気ない配信でも赤スパ(1万円以上)を贈っているリスナーがいたり、ほしいものリストを公開した瞬間にすべてリスナーから贈ってもらえてリストが空になるという話も聞く。

配信者側もリスナーから見る限り、特に抵抗もなく礼を言って贈られたスパチャやモノをリスナーから
受け取っている。

配信中や配信外でこういった光景を目にするたび、僕は高校の合格祝いをもらった時のことを思い出す。

ぶっちゃけて言うならタダで人からモノやお金をもらうというのはなかなかリスキーな行為ですよっていう話だ。

ほしいものを馬鹿正直に伝えてえらく怒られた

高校に合格した直後の話だ。

ある親戚から高校の合格祝い何が欲しい?と聞かれた。

当時15歳の僕は、特に何もほしいものがないと伝えた結果イマイチなものを贈られても困ると考え、馬鹿正直に当時ほしくて仕方なかったMDコンポ(時代を感じるなぁ・・・)を希望した。

確か3万円台後半くらいの値段だったと思う。

親戚は欲しいものをハッキリ言ってくれて助かると言ってくれ、のちに僕が欲しかったMDコンポが実家に届いた。

しかしこのことが親に伝わった瞬間、僕は親から驚くほどボコボコに怒られた。

あまりに怒られたので高校合格のお祝いムードやずっとほしかったものが手に入った喜びなど一瞬で吹き飛んでしまった。

当時は欲しいものを聞かれて素直に答えただけなのに、なぜここまでボコボコに怒られないといけないのかとすさまじい理不尽さを感じていた。

見えない「お金」のやり取りが全く見えていなかった

しかし、今となってはなぜあれほどまで親から怒られたのかよくわかる。

当時の僕は「見えないお金」の存在を全く知らなかったのだ。

僕があの時親戚からほしいものを聞かれても「ほしいものは特にないからいいよ」と一旦断りを入れておけばよかったのだ。

それでも親戚から何かお祝いの品が贈られてきたら建前上は「断ったけど向こうから一方的に送ってきた。仕方ないから受け取っておくか」ということになるのだ。

ところが、僕が合格祝いを断るどころかハッキリとほしいものを伝えてしまった。

そうなると親戚側からすれば「お前の息子が希望するからMDコンポを贈ってやった」ということになる。

これの何がいけないか。

表向きは高校の合格祝いで親戚からタダでほしかったMDコンポを手に入れた、めでたしめでたしだ。

しかしそうは問屋が卸さない。

なぜなら世の中には「見えないお金」というものがあるからだ。

善意や好意でモノやお金を贈ったように見えて、実はそこに「見えないお金を支払ってくれることへの期待」が存分に乗っかっているのだ。

見えないお金というのは、例えば今後自分が何かしてほしい頼みごとがあるときにそれに答えてもらうことだったり何かしらの便宜を計ってもらうことだったりと人によって様々だ。

いわゆる「借り」と言ってもいい。

僕が親戚からMDコンポをもらったことを放置すれば、それ以降その親戚から何かめんどくさい頼み事をされたり、それ以降何かお祝い事があった時のプレゼントなどを期待されるかもしれない。

しかもそれは断れない。断れば「高校合格祝いにお前の息子が欲しいって言ってたMDコンポ贈ってやったやないか。」と言われるからだ。

人からモノやお金をもらうということは、そこに少なからず「見えないお金の支払いに対する期待」が乗っているということを当時15歳の僕は知らなかったのだ。

そして親はそれを分かっていたので、MDコンポが贈られてきてからすぐに親戚の子供用にと服やらお菓子やらを親が買って贈っていた。

バカ息子のせいで生まれた「借り」を帳消しにするためだ。

ただでさえ実家は貧乏だったので、なおさら痛い出費だっただろうと思う。

「お前がいらん事言わんかったら余計な出費しなくて済んだのに」という怒りもあっただろう。

とにかくこの経験を通して「人からモノやお金がタダでもらえることなんてことはまずない」ということを学んだ。

Vtuberが炎上しやすいのは「見えないお金」の存在を分かってないからでは?

さてここで冒頭の話に戻る。

Vtuber界隈では炎上ネタが絶えない。

一つ一つの炎上理由は千差万別だろうし、一概にこれが原因だと言い切れるものではない。

ただ炎上しやすい原因の一つにこの「見えないお金」の存在を分かっていないということがあるのではないだろうか。

「見えないお金の支払いへの期待」がスパチャや贈り物に思いっきり上乗せされているにもかかわらず、知らないうちにその支払いを「踏み倒す」行為をしてしまいリスナーやファンから怒られるという構図があるのではないかと思う。

もらう側はタダでリスナーから純粋な応援や善意の気持ちでスパチャ(投げ銭)やほしいものリストからモノをもらっていると思っているはずだ。

しかし贈る側は、意識的だろうが無意識的だろうが「見えないお金の支払いへの期待」をガンガンに乗せている。

それは今後も元気で配信活動を続けてほしいという期待かもしれないし、現実の彼氏彼女なんて作らずにいつまでも僕ら(リスナーやファン)と仲良くしてくれというものかもしれない。

高額なスパチャや贈り物をすることでリスナーやファンとして一目置いてほしい、特別扱いしてほしいというものもあるかもしれない。

本当の意味で何の見返りも求めずにスパチャやモノを贈るリスナーやファンがどれだけいるのだろうか。もちろんゼロではないだろう。

だがそういった人は相当少ないのではないだろうか。無意識のうちに「見えないお金の支払いへの期待」を乗せているということは十分あり得るからだ。

自分は一切そういった見返りを求めずにスパチャやプレゼントを贈っていると自信満々に言える人がいたらぜひ話を聞いてみたいものだ。

以前大手企業Vtuberが色恋沙汰で大炎上した挙句、契約解除になった騒動があった。

あの騒動でも「推しの幸せを願うのが本来のファンなのでは?」とか「応援しているなら何があっても味方するのがファンなのでは?」といった擁護の声があったが、的はずれにも程がある。

高額なスパチャを通した「見えないお金の支払い」を踏み倒した結果炎上しているのだから、ファンだからうんぬんなどというのは全く関係がない。

シンプルに「見えないお金」の支払いを踏み倒されたことに対する怒りなのだ。

等価交換的な応援しか僕はやらない

僕はいまだかつてスパチャを投げたり、ほしいものリストからモノを贈ったりしたことがない。

単純にケチというのもあるが、もし僕がそのような行為をすると意識的にせよ無意識的にせよ「見えないお金の支払いへの期待」をガンガンに乗せてしまうということを自分自身でよくわかっているからだ。

自分で勝手に期待しておいて、配信者がそれを裏切る行為や言動を知らず知らずのうちにしたとき僕自身冷静でいられる自信がない。まあ怒り狂うであろう。

その姿が自分でハッキリと想像できる。

なので特定の人を応援するにしてもグッズやサービスの購入を通した「等価交換」的な応援しかしないと決めている。

等価交換である以上そこで完結するので「見えないお金の支払い」を求めて怒り狂う事態は避けられる。

極論、スパチャやモノを贈らないということを通して自主規制しひいては配信者に配慮しているのだ。

配信する側からすればおとなしくスパチャやモノ贈れと思うかもしれないが。

タダでお金やモノをもらうことのリスクは理解しておいた方がいい

会ったこともない、住所も本名も分からないファンやリスナーからスパチャやほしいものリストからの
プレゼントを配信者が受け取っているのを見ると、つくづく大丈夫かなという気持ちになる。

一見タダでお金やモノがもらえてラッキー!程度にしか思ってないだろうが、そこにはガンガンに人それぞれの「見えないお金の支払い」に対する期待が乗っかっている。

僕の例のようにそれは身内同士でも発生するのだ。赤の他人同士だったら言うまでもないだろう。

別にスパチャやモノを贈りたければ贈ればいいし、もらう側はもらえばいいと思う。

ただ、そのことによるリスクや炎上の可能性は頭の片隅にでも置いておいたほうがいいのではないだろうかと今日もVtuberの配信を見ながら思ったという話だ。

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