みどりの窓口が減っている本当の理由は人出不足

JR西日本が設置を進めている「みどりの券売機プラス」が大不評らしい。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6435547

オペレーターと通話しながらきっぷを購入できるシステムだが、なかなかオペレーターが応答しない、時間をかけてやりとりした挙句、遠方のみどりの窓口のある駅まで行くことになったなどなかなか問題だらけである。

利用客からコスト削減のためとはいえ、使い勝手を悪くしすぎだろというクレームが出てくるのも無理はない。

しかしみどりの窓口をJRが急激に減らしている理由はコスト削減よりもむしろ人出不足であることは知られていないように思う。

みどりの窓口の仕事はこんなにキツイ

僕はかつてJRのそこそこ大きな駅で契約社員として働いていたことがある。

改札とみどりの窓口で働いていた。

元みどりの窓口職員として言わせてもらうが、かなりハードな仕事である。

まずみどりの窓口できっぷ発券業務に就くためには膨大な営業知識を勉強しなければならない。

それこそ市販されている時刻表の片隅にかなり小さい文字で書いてあるようなことまで覚えなければいけないのだ。

間違ったきっぷを作ろうと思えば簡単に作れるし、その結果お客様に迷惑がかかる。

よってみどりの窓口で働くために必要になる勉強量は尋常ではない。

また勤務時間がかなり長い。

みどりの窓口は改札や乗務と違い、基本的に泊まり勤務は少ない。

早朝や終電間際に開けておく窓口は少なくていいからだ。

しかし日中は多くの窓口を開けてお客様の対応をしないといけない。

なので基本的に一つの窓口を終日一人で担当する勤務となる。

よって基本の勤務時間が10時間や12時間といった長時間勤務となる。

それがデフォの勤務時間なので繁忙期はそこに残業が加わる。

それでいて日勤の場合は泊まり勤務と違って休憩時間が少なく、泊まり勤務の手当もつかない。

長時間勤務がデフォなうえに泊まり勤務が少ないので手当で稼ぐこともできない。

ちなみに僕が働いていた時の時給は1000円ちょっとであった。

わずか1000円ちょっとの時給で長時間勤務、かなりの営業知識が必要、ミスると責任重大、クレーマーの対応もしないといけないとなればそりゃ人出不足にもなる。

人出不足と流行り病による経営環境悪化で急激なコスト削減に走らざるを得ない

多くの人は知らないと思うが、現在はJRも私鉄も改札やみどりの窓口のようなきっぷ発券業務といった現場業務の多くを正社員ではなく契約社員や子会社社員にやらせている。

・給料が安い。

・責任は異常すぎるほど重い。

・非正規雇用だったり子会社社員で給料がこれまたスズメの涙。

・モンスタークレーマーや客からの暴力とも戦わないといけない。配属先によっては上司とも。

おまけに例の流行り病のせいで鉄道業界が「大手で安定した」ものではなくなったとなれば誰も働きたがらないのは当然である。

現代において鉄道会社で働くメリットがないのだ。

僕が働いていた時はまだ社会全体が不景気だったし人出不足の問題も発生しておらず「嫌なら辞めろ、お前の代わりなんていくらでもいる」状態だったのでこんな待遇や労働環境でも働く人はいたのだ。

しかし、今はどこもかしこも人出不足だしわざわざ働くメリットのない、そのくせ責任だけは異常に重い仕事など誰がやりたがるのかって話だ。

その影響が昨今色濃く出てきた上に、例の流行り病による経営環境の悪化によって急激にコスト削減が進んでいるのだ。

決してコスト削減だけでみどりの窓口は減らされているわけではない。

過酷な労働環境による人出不足と経営環境悪化で、鉄道会社は世の中の人が思っている以上にヤバい状況に立たされている。

コスト削減だけがみどりの窓口削減の原因ではないことは世の中の人には知ってもらいたいところである。

シェアしてくれると喜びます。

感想等いただけると喜びます

コメントする